こんちわ、ナヲヤです。
ラグビーって面白いんだけど、あれは何しているんだか分からない、とよく言われることを解説したいと思います。
今回はフォワード戦の話。
ボールを持ったらトライを狙いに行くバックスはある意味分かりやすいのですが、反面「フォワードって何してるの?」という質問もよく聞きます。
フォワードの動きが理解できると格段にラグビーが面白くなるのでぜひ覚えちゃってください!
もくじ
ラグビーのフォワードって地味?
サッカーの流れのままフォワードを理解しようとして、「???」になっている人をよく見かけます(笑)
フォワードというと、サッカーだと「点取り屋」みたいなイメージを持たれがちですが、言葉自体の本来の意味は「前衛」とかだと思うので、ラグビーだとポジション的に前に位置するプロップ~ナンバーエイトまでをフォワードと呼びますね。
ラグビーは原則、後ろにしかパスできないので必然的にバックスのほうがトライを取りやすい状況にあることが多いです。
なので、ラグビーでは大きく分けるとフォワードよりはバックスのほうがトライの可能性が高いと言えるのです。
さて、じゃあフォワードってトライを取れないの? というとそうでもない。
フォワードにはフォワードの見せ場、があるんですね!
これを見たらもうフォワードが地味とは言わせませんぜ!!
トライまでもう少し! ねじ込め!
フォワード戦という言葉を試合中に耳にしたことはありますか?
シチュエーションとしては、トライまで残り数mという局面でブレイクダウンからフォワードが直接ボールを持ち出して、何回もポイントのすぐ横を突いていくシーンです。
あれって、なんであんなことになるか分かりますか?
今まではバックスに展開していたのに、ゴール前になったら急にガツガツ当たりだした。
その前の展開とどう違うの? って思いませんか?
バックスにボール渡したら簡単にトライ取れるのでは? とか思っちゃいませんか?(笑)
この戦術の意図と選手の心理的状況をご説明いたします!
フォワード戦の戦術的意図
トライまであと5m!
ポイントにはフォワードがたくさん集まってきました!
さあフォワード戦の開始です。
オフェンス側は、ブレイクダウンからボール確保をしたら、次のブレイクダウンを作るためのプレイヤー(主にフォワード)を集めます。
プレイヤーが集まるのは無論、早いほうが有利。敵もディフエンスを集めますから、相手の準備が揃う前に出るのはひとつポイントです。
プレイヤーが集まったらポイントのすぐ横を通って相手に当たります。
このポイントのすぐ横(ポイントサイド)は、ラグビーの攻撃では非常に有効な場所の一つです。(故にディフエンスも厚いのですが)
当たるときのオフェンスの注意点は、数cmでもいいので必ずゲインすること。ポイントが作れればいいというものではありません。
前のポイントよりも押し戻されてしまったら、ディフエンスが成功したと思っていいでしょう。
牛歩戦術のように、じりじりと前線を押し上げていくのがフォワード戦の意図です。
なぜフォワードでゲインを稼ぐの?
そんなのバックスでやればいいじゃん。フォワードだと時間かかって大変じゃん。
待て待て待てーい!!
フォワードが執拗にポイントサイドを突くのには理由があります。
ゲインを損しない
トライまであと少しという局面になったら、たとえ少しであっても後退はしたくないもの。(当然ですけど)
バックスに展開するとなると、パスは後ろにしか出せないので、多少ですが前線は後退しますね。
そこにディフエンスを詰められてしまったら、ちょびっとづずつですが後退を繰り返すことになります。
オフサイドラインはゴールラインより後ろには存在しないので、ゴールラインに近ければ近いほどオフェンスとディフエンスの間の距離は短くなります。
ディフエンスを詰めるには有利な状況になっているため、バックスに頻繁に展開するのは得策ではなくなっていくのです。
ポイントから直接フォワードが持ち出せば前線を後退させることなくアタックを継続させられます。
歩みは数cmの前進かもしれませんが、それは確実な前進なのです。
ディフエンスを集めている
また、フォワード戦の意図はバックスへのディフエンス意識を逸らすことにも貢献しているのです。
オフェンスのフォワードが、フォワード戦を仕掛けるそぶりを見せたら、ディフエンス側はポイントサイドなど、ポイントに近い場所のディフエンスを厚くせざるを得ません。
一度ポイントに入ってしまうと、そこから抜け出すにはそれなりの時間がかかるので、場合によってはフォワードの穴埋めに入るバックスを巻き込むこともできるでしょう。
バックスへのディフエンスはその分薄くなるという話。
ディフエンスがポイントに寄りすぎたり、疲弊して外までディフエンスができなくなったらバックス展開のチャンス!
長いフォワード戦の後にバックスに展開するのはそんな判断があるからなのです。
フォワード戦の中でのプレイヤーの心理
フォワード戦は体力的、精神的な面の両方において消耗戦です。
オフェンス、ディフエンス両チームとも、大きなプレッシャーにさらされる、ゲームの中でもツライ時間帯に当たると思います。
プレイヤーはどんなプレッシャーにさらされているのでしょうか?
体力面のプレッシャー
経験者は分かると思いますが、連続するブレイクダウンへの参加は本当に消耗します。
まず相手を押す形でラックを作らなければいけないこと。
ラックから速やかにボールを確保しなければいけないこと。
1つのラックが終わっても、すぐに次のラックが形成されていること。
これらは例えるの難しいですが、寝転んでいる状態から起き上がって数m先の大男を押す、という一連の流れを何回も繰り返していると思ってもらったらいいかなと。
ディフエンス側も、幾度となく突っ込んでくる敵フォワードを確実にタックルで潰さなくてはいけません。
しかも、相手に押し込まれたら即トライ。
へばっている暇もありません。
フォワード戦は体力的に音を上げたら一瞬で負けてしまう、過酷な状況なのです。
精神面のプレッシャー
体力面のところで少し触れてしまいましたが、攻守両方とも押し負けられない前提があるので、コンタクトプレーで失敗できないプレッシャーがあります。
できればこっちこないでくれと思いたいもの(笑)まあ、そんな弱気でいたら確実に負けるんですけど(笑)
精神的プレッシャーという面で行くと、ディフエンスのほうがやや重いのかなと思います。
押し負けたら即トライの恐怖もありますが、反則もできないプレッシャーはかなりの重圧です。
よくあるのはディフエンス側のオフサイド。
攻撃を早く止めようと焦ってオフサイドラインを越えてしまうことはよく起こります。
ゴール前のペナルティで相手にアドバンテージが出ると、攻撃側はギャンブル的プレー(大外にキックパスなど)にもチャレンジすることができますし、ショットを選択されたら3点の失点はほぼ免れないでしょう。
前がかりになっている攻撃を止めるにはかなりの精神的プレッシャーに耐えなくてはいけないということが分かってもらえたでしょうか?
フォワード戦は我慢比べ
一見、ガツガツ当たって派手だけど、試合の動きとしては単調で退屈。
なんて思っていた人もいるのではないでしょうか?
フォワード戦は実は大きなプレッシャーの中で、攻守プレイヤー同士がおこなっている我慢比べなのです。
剣客のつばぜり合い、猛牛の角突き。
体力と精神のぶつかり合いをぜひ、ラグビー場で楽しんでください!
応援よろしくお願いします!
コメントはこちら