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ラグビーのアンストラクチャーとは?/好機!それとも大ピンチ?の話

ラグビーのアンストラクチャーとは?/好機!それとも大ピンチ?の話

こんちわ、ナヲヤです。

スポーツには様々な専門用語がありますね。

そのスポーツに精通していないと一見何のことを指しているのか分からない言葉も、しばしば存在します。

ましてその専門用語が、いまだに増えているとしたら。。。

そんなことあります? と思うかもしれませんが、ラグビーはいまだに専門用語を生み出しているスポーツの代表格なのではないでしょうか?

生まれてから100年以上が経過している、歴史のあるスポーツですが、新しい戦法は次々に開発されています。

新しい概念が生まれると、その概念には名前が必要となります。

名前ができると、その概念は一気に広まり、新旧の概念の摩擦の中で新しい概念が生まれる。。。

その繰り返しが現在においても活発なのがラグビーというスポーツです。

ルールが今でも頻繁に改定され、新しいプレーや戦法によってかつての常識が覆されていく。

ラグビーの歴史は、そんなルールと戦法の、革命の歴史でもあります。

そこがラグビーの大きな魅力の一つと言えるかもしれません。

今回は割と新しい概念の一つ、アンストラクチャーをご紹介します。

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ラグビーのアンストラクチャーとは?

アンストラクチャーとは、いつ頃から言われだしたんでしょう?

少なくとも私がプレーヤーだった時代は、言葉として聞くことは無かったような気がします。

ただ、状態としてはもちろん存在していました。

攻撃、防御ともにラインが存在せず、個々のプレーヤーが半ば独立しているような状態。

やや極端ですが、サッカーのようなプレーヤー配置の状態に近いのがアンストラクチャーの状態です。

もともと、ストラクチャーが「構造」などの意味を持つ言葉なので、その否定形、「秩序だった構造が無い」状態を指します。

そういう状況は、ラグビーの試合中においては、複数回起きることがあります。

ただ昔はその状態にこれと言った名前が無く、「ノーライン」とかそれらしい言葉で濁していたような気が。。。

冒頭で「概念に名前が付くと…」という話を書きましたけれども、それでいうところの、「状態として存在するけども、概念化されていなかった」時代、ということなのでしょう。

当時はそういう状況は望ましくないと考え、早めにライン形成ができるように各プレーヤーが連携するのが常套手段でした。

言葉を変えると、アンストラクチャーを「ピンチ」ととらえる考え方です。

ところが、中には真逆のことを考えるイノベーターもいます。

「確かにピンチはピンチだけど、相手も同じ状況ならむしろチャンスじゃね?」

1対1に自信を持つランナーなら、そういったことを考えるのも自然でしょう。

「組織的な動きをできない状況を意図的に作り上げ、攻撃(あるいは防御)する」という戦法が編み出され始めます。

そこで初めて、その状況が概念化されたのです。

アンストラクチャー、と。

アンストラクチャーはどのようなときに発生する?

アンストラクチャーな状況に強いプレーができるのであれば、積極的にそのような状況を作れれば有利となります。

ではどうすればアンストラクチャーを作り出せるのでしょうか?

一つはキックの使い方です。

例えば敵陣の奥深くまでボールをけり込み、敵の最後尾の選手がボールをキャッチしたとします。

一時的にボールをキャッチしたチームは、ボールキャリアが孤立した状態になっています。

またキックした側のチームは、キック時のオフサイド関係で動ける選手は制限されている場合もあります。

どちらのチームも15人をフルに使ったラインは形成できないので、アンストラクチャーと言えるでしょう。

キックの場合、ある程度意図的にアンストラクチャーを発生させることができますが、偶発的な発生もあります。

急なターンオーバーが起こり、攻守ともにライン形成が間に合っていないときや、ルーズボールでどちらのチームのボールなのか明確でない場合。

想像すると、どっちもわちゃわちゃして混沌とした状況であることが思い浮かぶと思います(笑)

偶発的であることがミソ。

混乱した状況を突いてチャンスに繋げるのですから、わちゃわちゃしていないといけない訳で。

みんなが思わず「ぎゃーやばい!」と思う状況を、「あ、ラッキーかも!」と思うポジティブシンキングかつ自信満々な選手がいるとアンストラクチャーには強いのです(笑)

得意なチーム、不得意なチーム

選手個人というか、カラーとしてアンストラクチャーを好むチームと好まないチームはいるかと思います。

感覚的ですが、2015のワールドカップ時の日本代表は徹底してストラクチャーラグビーだったような気がします。

これは当時の戦術、シェイプ(ボールキャリア付近にフォワードを配置しポイントを作りつつ前進する)を遂行するに正確なライン(ポジション取り)形成が必要だったからだと思います。(※あくまで私個人の感想です…)

2016年以降は意図的にキックも多用していて幾分か、アンストラクチャーにも慣れようとする動きが出てきました。

ボールをキープし続けることでアンストラクチャーを回避していた2015のチームとは思想が異なるわけですね。

大きな考え方の転換があったため、当初は上手くいっていないようにも見えていましたが、現在はよいキックの比率が増えてきたことで、有効な攻撃手段になりつつある気がしています。

日本代表やサンウルブズが取るキック戦術は、キックののち素早くディフエンスラインを押し上げ敵を囲い込む、という戦術なので、ボールを手放しても相手より有利な状況を作るという戦い方。

相手はアンストラクチャーだけど、こっちはストラクチャー状態が理想的。

また日本のチームはフィジカルでは他国に比べ不利なことが多いので、攻撃にしても防御にしても組織力が無いと各個撃破されるリスクがあります。

そういった意味でも新旧HCの別なく、日本はストラクチャーラグビーのほうが向いているのではないでしょうか。

逆にむしろアンストラクチャーを望んでいるのはNZのチームに多い気がします。

理由はいろいろありますが、

  • フィジカルの強い選手が多い
  • スピーディーな展開を好む
  • 1対1に強い

などなど。

1人2人当たられても倒れない強さは、ディフエンスにおいてもオフェンスにおいても脅威です。

またNZのチームは一度走り出したら止まりません。

苦労してタックルで止めてもオフロードパス繋がれたり。。。

人数が整わないため、1対1の場面が必然と多くなる、そして横の増援も期待できないアンストラクチャーでこのオプションはもはや反則級の破壊力を伴います。

この前秩父宮にも来ていた、NZのダミアン・マッケンジー選手なんかはまさにアンストラクチャーの申し子のような選手。

最近はスタンドオフに入ることが多いですが、彼がフルバックに入った時はキックしない方がいんじゃないかってくらい、縦横無尽に暴れまくりやがります。

サンウルブズもかなりディフエンス切り裂かれましたね。。。

サンウルブズ対チーフス戦を振り返ってみる話

世界と戦うということは、こういう状況においても確実にディフエンスできる強さが必要ということなのでしょう。

ラグビーの戦術は今も発展中!

こういう話を書いている間も、世界のどこかで新しいラグビーの戦術が生まれている可能性があります。

ラグビーのルールは一見すれば複雑なようにも映りますが、実は大きな自由度を持っているルールでもあります。

ルールを熟知し、敵を分析し、いかに効率よく点数を重ねるか。

自由度の高いラグビーは、いまだに研究の余地を存分に残しているのです。

応援よろしくお願いします!

記事を書いた人

nawoya
ナヲヤです。1983年生まれ、高知県在住です。
2019年ラグビーW杯の時に、少しでも多くの人と
ラグビーを楽しめるよう、ラグビーの楽しさを紹介します。

雑記では、ラグビー以外の気になることも紹介していきます。

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