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日本代表のラグビーは、キッキングかシェイプか?/答えは2019年?な話

日本代表のラグビーは、キッキングかシェイプか?/答えは2019年?な話

こんちわ、ナヲヤです。

今、ラグビー日本代表ファンの間で1年以上はホットになっている話題をぶっこんでみます!

日本代表の戦術はキッキングなのか、それともシェイプが適しているのか、という議論。

これは2015年ワールドカップが終了してから、ずっとラグビー日本代表のテーマであった議論でもあります。

一派は「日本代表はシェイプで結果を出したのだから、その戦術に磨きをかけるべき」と主張。

もう一派は「シェイプだけでは進化できない。キックを有効活用し、密集突破以外の武器を用いるべき」と主張しています。

果たして、日本代表にはどちらの戦術が向いているのか?

テストマッチを週末に控えた今だからこそ、この議論をしておくべきと思い、ちょっとお時間いただきます!

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2015年ラグビーワールドカップでの躍進は、シェイプ戦術にあり

2015年のラグビーワールドカップで、日本代表はベスト8こそ成らなかったものの、3勝を果たすという歴史的快挙を成し遂げました。

そんな日本代表の躍進を支えてきた戦術こそ、エディー元HCが提唱したJAPAN WAY、「シェイプ戦術」でした。

具体的にどんな戦術かと言いますと、ひたすらスクラムハーフスタンドオフの周囲に2~3人のフォワードを配置し、一丸となって前進。

  • 突破力増
  • 持久力勝負
  • 守備の分散

などを目的に、体格で劣る日本代表が世界と戦うために適していたと思われる戦術です。

エディー元HCは、シェイプを完成されるために、地獄の練習を選手たちに課し、フィジカル、フィットネスともに世界水準まで日本代表を押し上げ、過去類を見ないワールドカップでの3勝を手に入れたのです。

戦術が見事ハマり、日本ではシェイプスゲー!的な論調が一気に広まりました。

確かに、日本は世界の強豪相手にもボールをキープし続け、突破ができるチームになり、走り負けないでバックスにつなぎ鮮やかなトライをワールドカップで量産できるチームになっていました。

2015年の時点では、シェイプの採用は、日本にとって最良の選択だったのではないかと思います。

2015年と今で変わったこと

2015年は南アフリカを打倒し、スーパーラグビーへの日本チームの参入、さらに格上Tier1チームとのテストマッチなど、日本のラグビーを取り巻く環境は劇的に変化しました。

おそらく2015年以前は、他国にも油断があったのだと思います。

仮にキックで日本に一時的にボールを渡すことになっても、プレッシャーをかければミスをするから取り返せる。スクラムなら押せる。ラインアウトも有利だ、等々。

ところが、当時の日本代表はボールをキープしたら反則しませんでした。2015ワールドカップの反則率は参加チーム中最も低く、最強の規律を持つチームだったのです。

フェイズを重ね、波状攻撃をかけてくる日本代表のディフエンスは肉体的にも精神的にもつらいものになります。

ラグビーは、オフェンスよりもディフエンスのほうが圧倒的に疲労するスポーツです。

フィットネスでも敵を上回る日本代表は、敵との走力合戦にも負けず、最終的に勝利をものにしていたのです。

では現在との違いはどこにあるでしょうか?

フィットネス・フィジカルは下落?

先ほども書いたように、日本のラグビー環境はこの2年で大きく変わりました。

それにより、日本代表に招集されるようなトップの選手にはほぼ1年間、どこかでラグビーをやっているような状況に陥ってしまいました。

もちろん、実戦経験を積めることはいいことなのですが、試合は消耗します。

代表の選手は、2015年のワールドアップから体重を平均で5キロ程度落としているという情報もありました。

身体のリカバリーが追い付いていない可能性があります。

2015年ワールドカップの前は、長い合宿をする時間があり、選手たちはそこで徹底的にフィットネス・フィジカルを高めることができましたが、現在はそれができていないと思います。

他国による日本代表の再評価

2015年のワールドカップの戦績やその後のテストマッチの善戦により、強豪国も「日本代表は侮れない」と評価を改めています。

実際、11/4に来日したワラビーズの布陣はフルメンバーに近い状態でした。

また各国簡単に日本代表にボールを渡さない工夫をしています。フェーズを重ねさせると厄介なチームに思われていると思います。

キックを深めに蹴りこんでアンストラクチャーの中でキャリアーを孤立させたり、コンテストに持ち込める、敢えて近場にボールを落としたり。

また日本代表のディフエンスラインが揃っているときは無理に押さず、ボールキープを優先していたり。

正当な評価によって敵が油断しなくなったことで、日本代表は苦戦を強いられているのです。

果たして今シェイプで成功するのか?

私個人の意見ですが、今現在の状態でシェイプが成功するとは思っていません。

シェイプは確かに素晴らしい戦術でしたが、それはあくまで2015年のワールドカップという特殊な時期において最良の選択であったもので、今の状況に安易に当てはめても結果は出ないのではないかと思っています。

では、この先日本代表はどう戦っていくべきなのか?

ここでキッキングラグビーが登場します。

キッキングラグビーの狙い

日本代表は2015年ワールドカップから現在に至る今まで、大きな戦術の転換を行いました。

今までは一度手にしたら離さなかったボールを、キックにより積極的に敵陣へ持ち込むという戦術を取るようになりました。

これはスーパーラグビーのサンウルブズでも取り入れられている戦術であり、日本代表ともリンクしているチームとしては当然の選択であるといえます。

かつての戦術から根本的に思想が違うため、定着には時間がかかっています。

そしてキッキングを採用した2017年のスーパーラグビーシーズンでは、サンウルブズの連敗(そして大敗)もあり、批判にさらされ続けています。

キッキングラグビーの意図は、敵ディフエンスラインをフォワード、バックスでは破り切れないときに、キックでディフェンスラインの裏にボールを通すという「第三のオプション」を持つことで、敵プレイヤーにディフエンスのマークを絞らせないことが最重要であると思っています。

日本代表にはキックもあるぞ…。という不気味さで敵の出足を挫くのが目的で、キックで相手を突破することが目的になってはいけないと思うのです。

私が思うに、この前者のポイントを、敵に感じさせるに至っていない、というのが日本代表の現状であると睨んでいます。

今季スーパーラグビーのサンウルブズの初期の試合を見ていると、そんな感想が沸き上がりました。

外目のバックスには数的優位があるのに、ボールを展開せず安易に蹴ってしまったり、オフェンスで孤立し苦し紛れに蹴ってみたり。

これは相手が巧みであることもありますが、それ以上にチームで「どういう状況においてキックを使うか」の決め事が弱かったのではないかと思うのです。

しかし、最近ではこの弱点はかなり改善されてきています。

更なる改善で、敵が「日本にキックをさせよう」から「日本のキックを警戒しよう」にマインドを変容させることが真のキッキングラグビーの完成となりますが、そこに至らない理由がまだ二つばかりあると思っています。

キックの精度

キックのタイミングは改善されてきていると思うのですが、精度にはまだ改善の余地があります。

精度と言っても、毎回同じメンバーでやるわけではないので、スクラムハーフスタンドオフの思考・キックの癖も絡んでくるし大変な課題であると思います。

ただほかの国に比べてもキックに慣れてない感はそこはかとなく感じます。他国よりもキックについて関心が低いというのでしょうか…?

蹴る側は、「どんなタイミングでどこにボールを落とすか」を考えて蹴っているのでここは練習あるのみ、なのですが、キックの精度とはチェイスの精度も指しています。

キックの意図をくみ取り、如何に組織的にキックされたボールを追えるのか、も重要な要素です。

日本代表でもサンウルブズでもそうですが、チェイスのタイミングが遅れ、相手のバックスに動き回られピンチに陥る状況があります。

これはキッカーでなく、その他の選手の責任です。網掛けができれば相手を捕まえたり、ミスを誘うこともでき、大ゲインが見込めます。

どうしてもつらい時間帯はあって、その時は足が遅れそうになりますが、フィットネス強化と決め事の徹底で何とかしてもらいたいものです。

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アンストラクチャー時の脆さ

キックをした後は、敵味方ともどもラインが崩れていわゆるアンストラクチャーの状態になります。

この時非常に日本代表は脆くなります。日本代表は組織的なディフエンスは比較的優秀なのですが、こと1対1のディフエンスに関しては強くありません。

これは明確に、2015年から退化している部分であると思っています。

1対1でTier1の選手を止められるタックルができるのは、日本代表のなかでも半分に満たないでしょう。

これをどうするかについては以下2点の強化が必要だと思っています。

アンストラクチャー時の再組織化

1対1になることをそもそも避けるためのシステム作りが必要です。

強豪国の1対1に強いランナーが上がってきても、ラインで止められたり、あるいは全員でディフエンスせずとも2~3人で囲い込む取り決めを作るなどして、早めにランナーの自由度を奪うディフエンスを行うのはどうでしょう?

いいようにかき乱されるくらいなら、ボールのキャッチャーに狙いを定めて、他のディフエンスを犠牲にしてでもボールを動かさせない、と。

言葉でいうのは簡単ですけどね。。あまり奥に蹴れなくなるのもまずいので、バランスのとり方が難しいですが。。

結局はスペースをいかに早く詰められるか、になってくるのでしょう。

個々の1対1強化

これは、2015年ワールドカップ経験選手たちが口をそろえて言っていますが、やはり1対1での脆さはキッキングラグビー以前の、致命的な弱点です。

これでは、味方のチャンスを作るためのキックが相手にとってのサービスになりかねないほどの由々しき事態です。

1stタックラーは最低でも、敵に体を当てなくてはいけません。

またフォローに付いたプレイヤーも、すぐにWタックルが入れる位置にいないといけません。

ミスマッチな状況だと2枚3枚かわされることもあり、スピードを奪うことすらできない状況を見るとこれはまずいなーと思ってしまいます。

ちょっと前にリーチ選手が「朝の練習を復活させたい」とJJに直訴したというニュースがありました。採用されたのかな?

おそらくこれは1対1でも負けないフィジカルを取り戻すための、リーチの提案なのだと思います。

1対1でも相手を確実に仕留められれば、敵の選択肢は確実に狭まります。

キックで相手にチャンスを与えるのではなく、キチンと脅威を感じさせるには、まだまだ不足しているものがたくさんあるのです。

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答え合わせは2019年

過去の実績からシェイプなのか、はたまた手塩にかけて育てているキッキングラグビーなのか。

いまだラグビーファンの中では喧々諤々の議論が起こっております。

忘れてはいけないのは、2015年から2年前の2013年のころのエディーも批判にさらされていたということ。

オーストラリア人のエディーは日本のラグビーを理解していない云々。。

結果が全てのスポーツでは、勝てば官軍。

いまだ成果を出しきれていないキッキングラグビーですが、一つ理想形を挙げるとするならば、今季サンウルブズの最終戦であった対ブルーズ戦。

キックが面白いようにハマり、終わってみればNZのチーム相手に48-21の堂々たる勝利。

あの展開を、まぐれで終わらせることなく、あと2年を切った残り時間で完成させることが日本代表チームの課題なのです。

2年後のワールドカップで、「やっぱりシェイプで通すべきだった」なのか「キッキングラグビーが日本代表の新しい可能性を見せた」になっているのか。

もしかしたら「あのときシェイプへ原点回帰してよかった」てな着地もあるかもしれませんけど(笑)

この残り時間で日本代表がどんな戦術を採用し、どんな結果を出していくのか、非常に楽しみにしています。

2017/11/18 対トンガ戦 @フランス(日本時間11/19 1:15~)

さあ、今日(正確に言うと明日)はテストマッチのトンガ戦。

キック戦術と新しいディフエンスシステムが、成績的にはほぼ互角のトンガ相手にどこまで通用するのか要チェックです!

このブログでルールをおさらいして、深夜キックオフだから昼寝とかして眠くならないようにして(笑)、日本からフランスの試合を応援しましょう!

もう用意した? 日本代表応援グッズ!!

 

応援よろしくお願いします!

記事を書いた人

nawoya
ナヲヤです。1983年生まれ、高知県在住です。
2019年ラグビーW杯の時に、少しでも多くの人と
ラグビーを楽しめるよう、ラグビーの楽しさを紹介します。

雑記では、ラグビー以外の気になることも紹介していきます。

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