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なぜサンウルブズはアウェーでチーフスに「勝った」のか?

なぜサンウルブズはアウェーでチーフスに「勝った」のか?

こんちわ、ナヲヤです。

サンウルブズがシーズン4年目にして初めてのアウェーでの勝利を挙げました。

実に、この試合まで丸三年間におよぶシーズンの中、24連敗を喫していたという敗北の歴史を覆したのです。

ちょっといつもと違うテイストで試合を振り返ってみます。

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リアルタイムでは見れなかった試合

僕はその日東京にいた。土曜日に妹の結婚式があったので、金曜日の夜から東京に入っていた。

当日は親族の案内や、荷物運びなどでクタクタになり、ほぼ丸一日立ちっぱなし、動きっぱなしであった。

親戚が関東圏に固まっているので、実は親族関係だと僕が一番遠い所に住んでいる。

「今日は遠いところをご足労いただきまして…」

「いや、お前が一番遠いよ!」

なんて話をしていた。

リアルタイムの試合はチェックできないので試合情報は強制遮断である(そうでなくても結婚式の中、スマホを見ているのはまずいけど)

注意していたのにもかかわらず、いつもの癖でふとツイッターを見てしまい、松橋選手の先制トライがあったことを知ってしまった。

僕は慌ててスマホの電源を落とした。

BS日テレで夜観戦する

家に着いたのは6時頃。

そこから結婚式の感想などで一息つく。気が張っていたので式の途中も酒はほとんど飲まなかった。

奇妙な疲労感に包まれながら、11:00まで起きていた。

本当は朝早くから動いていたので眠たかったが、前週の試合の内容が良かったこともあり、チーフス戦は初勝利の期待が大きかった。

目をこすりながら父と観戦することにした。

ちぐはぐのチーフス、猛攻のサンウルブズ

前半開始のホイッスル。

キックオフは微笑みの貴公子、AB’sのスタンドオフでもあるダミアン・マッケンジー選手のキックで始まる。

が。

マッケンジーのキックは予想外の飛距離を出してそのままタッチへ。

マッケンジーと言えば、キックの名手のイメージがあるが、いきなりかみ合わない。

これがこの日のチーフスの”出来”を象徴していたように思える。

今まで出来ていた事が、なぜか出来ない。

個人であれば「スランプ」と形容できるだろうが、チーム全体にのしかかっているこの暗いよどみは何なのだろうか。

マッケンジーの表情は険しかった。

直後のスクラムによるリスタート。フロントローが崩れはしたが、押し負けてはいない内容。

チーフスの出来の悪さに対し、サンウルブズの出来は、「悪くなかった」

松橋という狼は、飢えていた

ファーストスクラムからのボールは右翼へ展開。

ゲラード・ファンデンヒーファー、南アフリカのウイングがチーフスの外のディフエンスを鋭く切り裂いた。

前週のベスト15は伊達ではない。

更にはウヴェやゲイツが体を張って、チーフスのディフエンスラインに食い込んでいく。

ウヴェがラックのボールをピックし、そのまま大きなゲインを図る。

繋いだボールをマヌがプロップとは思えぬ軽業のようなパスでファンデンヒーファー、そしてボスアヤコ、松橋とボールを繋ぐ。

右一杯の大外でマッケンジーが懸命にディフエンスするが、フィジカルに勝る松橋がマッケンジーのタックルを物ともせず、先制のトライを叩き込んだ。

チーフス相手に、正攻法で、全く危なげの無いトライを決めて見せた。

フィジカルの強いSRにおいて、松橋選手のように小柄なフランカーは稀だが、日本の小兵フランカーここにあり、のプレーだった。

キックの角度はややきつめ。トライは右端だったからこれは仕方ない。

ワイカト・スタジアムにアウェーの洗礼であるカウベルが鳴り響いた。

パーカーにはカウベルが聞こえたのか、聞こえなかったのか。

難しい位置からのコンバージョンキックは向かって左のポールに触れるかどうかのきわどいコースを通って成功。

「外したらニュースになる男」

今回もニュースにはならないようだ。

センターのゲイツ、退く

前半5分になるところ。

センターのシェーン・ゲイツが足を痛めた。

倒れる際に嫌な方向に曲がっているように見えた。

退くまでに時間もかかっていて、右足を足首からすねにかけて固定され、車で運ばれていった。

いまだ怪我の詳細は分かっていないが、どうやら手術をしたらしい。

まもなく日本代表の資格を獲得できる選手だっただけに、この怪我は何とも痛い…。

今季はバックス陣の怪我が多い。

センター陣の戦力ダウンは何とも心配だ。

ゲイツは前半5分を待たずにバーリと交代した。

鉄槌、ヘルウヴェ

マッケンジーにPGを許したものの、すぐさまパーカーがPGを取り返し13-3。

前半は膠着した展開が長く続いたが、ウヴェが魅せた。

前半31分。

ポゼッションは大きくサンウルブズが獲得していて、じりじりと前進を許す嫌な展開のチーフス。

サンウルブズの攻撃を一発で止められないチーフスのディフエンスを、ヘルウヴェが粉砕した。

茂野からパスを受けてそのまま前の2名を吹っ飛ばし、ゴール際でディフエンス4人に絡まれるもそのまま強引にボールを押し込んだ。

TMOになるもすぐにトライが認められ、キックも決まり20-3。

更にはもう一本PGもおまけで決めて、23-3とチーフスにトライを許さず、20点のリードで前半を折り返した。

前半の戦いのまとめ

何といってもポゼッションに尽きると思う。

チーフスは前半ロクにボールに触れられなかったのではないかというくらい、サンウルブズの攻撃が続いていた。

勿論、サンウルブズがボールを手放すシーンもあったが、チーフスの方もハンドリングエラーや被ターンオーバーが多く、ボールを支配できなかった。

この日のチーフスは前半、徹底的にボールに嫌われていた。

またチーフスはタックルも決まらない。確実に前に出られてしまってディフエンスは後手後手に。

中央でヘルウヴェなどのパワーランナーにかき混ぜられ、茂野に左右に大きく振られ外ではファンデンヒーファーに良い様に引き裂かれた。

チーフスは何かハンデキャップでも背負わされていたかのように、動きが重く見えた。

後半立ち上がり

チーフスの4番でAB’sのロックでもあるブロディ・レタリック選手は前半で退いた。

調子が悪かったのだろうか?

後半45分、チーフスのラインアウト。

モールはサンウルブズが上手くディフエンスし、前進は許さず。

しかしモールから出されたパスはマッケンジーのキックで、ゴール下のフリーなスペースに転がり込んだ。

ここにチーフス13番のアレックス・ナンキベルが走り込み、トライ。

サンウルブズは油断でもないだろうが、マッケンジーは一瞬のスキを見逃さなかった。

これは世界のキックの名手を称えるべき、ナイストライ。

これで23-10。チーフスが徐々に本気ムード。

後半45~55辺りは一進一退

チーフスはキックが有効と見たのか、サンウルブズのディフエンス裏にボールを落とし始める。

アンストラクチャー状態にすれば、1対1では分があると思ったか、再三スペースにキックを蹴り込んでくる。

ただアンストラクチャーにはできているものの、チーフス側もいまいちそのチャンスを活かしきれない拙攻が続く。

後半54分に、ファンデンヒーファーの蹴ったキックを、チーフスの15番ショーン・スティーヴンソンがノックオンし、こぼれたボールをファンデンヒーファがもう一度足に引っ掛ける。

拾えばあわやトライのシーンだったが、これはバウンドに嫌われ惜しくもサンウルブズ追加点ならず。

ファンデンヒーファー、取り返す

ノックオンからのスクラム再開でチーフスはキックでテリトリーを挽回するも、ヘンリー・ジェイミーやトンプソンルークのアタックを招く。

大外を突いたボスアヤコがタッチ際で粘り、内に返したパスはチーフスによるインターセプトの可能性もあったが、ボールが手に付かず空中でルーズな状態に。

ここにファンデンヒーファー。すっぽりとボールが収まってしまう。

ディフエンスに絡まれるも、そこから抜け出しそのままトライ!

トライを逃したノックオンからすぐに、名誉を挽回した相手を突き放すトライで30-10。

また見え隠れするペナルティ癖

後半60分頃からサンウルブズはゴール前でピンチを迎える。

今シーズンの前2戦はゴール前でのラックなどで無理をしてペナルティを重ね、シンビン絡みでトライを奪われたりと良いところが無い。

どうしてもディシプリンの面で不安が残る。

この試合でも既にボールが出されているラックで無理に絡みに行ったり、テンポをずらされて勇み足でオフサイドなど、ペナルティを誘われている感がある。

ペナルティ多発でキャプテンが呼ばれたときは本当にヒヤヒヤした。

本当に痛いのはトライを奪われた時ではなく、一人欠いた時である。

この時残り20分を切っていたが、もしシンビンが出て一人欠いていたら勝利は危うかったかもしれない。

この後1トライを許したが、30-15でまだ2トライ2ゴール分のリードがあった。

点数のマネジメントの面で言えば、この点差でシチュエーションなら無理する必要は全くなかったのだ。

最後に猛攻を受けるもチーフスも焦りからか効果的な攻撃はできず最後はサンウルブズによるダメ押しトライを狙いに来られるおまけつきでノーサイド。

サンウルブズによるアウェー初勝利の歴史的瞬間が訪れたのであった。

後半のまとめ

チーフスは後半、さすがにボロボロの前半より内容はよかったが、それでも前年のような攻撃力は鳴りを潜めていた。

まずマッケンジーなどのラインブレイカーを完全に殺されていた。

サンウルブズがそれほど無駄なキックをしなかったことも影響しているかと思う。

去年はキックの後のアンストラクチャーを、マッケンジーに良い様にかき回されていたが、そういった教訓を活かしたのか、不用意なキックは控えていたように見える。

ディフエンスの際もマッケンジーの横の動きに釣られず、組織的なディフエンスで確実にゲインを許さなかった。

オフロードも繋がせないようにキャリアーの横にもディフエンスが付いていた。

チーフスにとってはディフエンスが17~18人いるように感じたのではないか。

NZ的なオフロードパスを有効に使えていたのは、むしろサンウルブズの方だったように思える。

ポイントサイドでギャップを作るチーフスの裏に走り込ませた選手にパスを回し、再三のラインブレイクを成功させていた。

チーフスはオフェンスでも、ディフエンスでも、サンウルブズに打つ手を潰されていた。

1点危なかったのは、前述のペナルティ連発のシーン。

改めて書くが、ここでまたFWがシンビンなどの状況に陥れば、敗戦もありえたと思う。

ワラターズ戦はそれで落としたようなものであった。

今回の試合はリードしている状況ででも起こっていたので、これは改善が必要な箇所だと思う。

もし、ゴール前でフォワードでゴリゴリ来られるシチュエーションでパニックに陥る要因があるのなら、このNZ遠征で確実につぶしてもらいたいと思う。

次戦、ブルーズ戦

次戦はオークランドのブルーズ戦。

バックスにAB’sのSBWやリーコ・イオアネなどを擁する攻撃力の高いチーム。

今季のサンウルブズは初戦のシャークス戦では6トライを許したが、ワラターズには31点、チーフスには15点と徐々に失点を許さない試合ができるようになっている。

強力なバックスによる攻撃に自信を持つブルーズのような相手に、今のディフエンスシステムが通用するかどうかは一つの試金石だ。

ブルーズの攻撃を4T以内に抑えられれば、いい戦いになるのではないかと思う。

サンウルブズは前シーズン、攻撃力はあっても防御力に難があるチームだったが、今季はそれが改善されている。

大外のディフエンスが機能しているのが大きな理由だと思うが、これがブルーズ相手でも通用すれば、NZ遠征はサンウルブズにとって大きな実りある遠征になるだろう。

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記事を書いた人

nawoya
ナヲヤです。1983年生まれ、高知県在住です。
2019年ラグビーW杯の時に、少しでも多くの人と
ラグビーを楽しめるよう、ラグビーの楽しさを紹介します。

雑記では、ラグビー以外の気になることも紹介していきます。

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