こんちわ、ナヲヤです。
ちょっと心配なニュースがあります。
太平洋諸島の国、フィジー、サモア、トンガが日本で開催されるワールドカップのボイコットを検討しているとの噂が界隈に流れています。
ことの背景には、ワールドラグビーが新設しようとしている国際大会、リーグ・オブ・ネイションズ(League Of Nations)の構想にありました。
このあたり、ちょっとまとめてみようと思います。
もくじ
リーグ・オブ・ネイションズとは?
渦中の単語であるリーグ・オブ・ネイションズ(以下LON)は、国際統括団体ワールドラグビー(以下WR)が計画する新設の国際大会。
構想段階ではTier1と呼ばれる10ヶ国
- イングランド
- スコットランド
- ウェールズ
- アイルランド
- フランス
- イタリア
- ニュージーランド
- オーストラリア
- 南アフリカ共和国
- アルゼンチン
これらのチームにランキング上位である
- フィジー
- 日本
を加えた12チームで1部リーグを構成し、テストマッチでしのぎを削るというコンセプトで2020年から開始の予定でした。
ちなみに2部リーグも存在し、他のリーグ同様に1部の下位チームと2部の上位チームによる入れ替え戦が検討されていたようです。
ところが…
ニュージーランドの新聞、ヘラルド紙の報道によると、LONの1部リーグに入るのはフィジーでなくアメリカだとし、1部2部の入れ替えも当面行わない設計と報道。
これに対し、太平洋地域出身のプロ選手により構成されるパシフィック・ラグビープレーヤーズ・ウェルフェア(以下PRPW)が反発。
冒頭の太平洋地域国のワールドカップ、ボイコットを検討する、と表明。
ワールドカップ直前に、不穏な空気が流れたのでした。
PRPはボイコット否定
太平洋地域選手の公式選手会パシフィック・ラグビー・プレーヤーズ(以下PRP)はこのPRPWによる表明を、
「選手たちはワールドカップを楽しみにしており、ボイコットの検討はしていない」と否定。
さらにはWRもPRPWの声明に対し、「太平洋地域諸国をLONより締め出すつもりはない」と話し、当初の騒ぎからはやや落ち着いたようにも思えますが、まだ何があるか分からない状態であることも確かなのです。
そこにはいろいろな背景、思惑も絡んだラグビー界の影があるのです。
ラグビーは興行として成り立つのか?
さて、PRPWがやや勇み足を踏んだようにも見える構図ですが、実は彼らの懸念もあながち否定できない背景があります。
それがラグビーの興行の話…
試合単体レベルで観れば、強豪国同士のテストマッチや日本の大学ラグビーの伝統の一戦など、観客が大勢動員できる試合もあると思いますが、大会やリーグともなると、毎回が大盛況とは言えないのが本当のところ。
それは日本のTLや南半球のSRでさえも、スタジアムに空席が目立つところを見ればうなずけるものと思います。
SRなんて秩父宮が一番観客はいってるんじゃないの?
LONも当然興行面を考えなければならないでしょうから、会場やチケットの販売などについては戦略を持たなくてはいけません。
そこでネックになってくるのが、太平洋地域の国での興行。
ホームでの試合でどれだけ売り上げが上がるのか? 物価水準の低い国なので、世界水準の価格でチケット販売しても来づらいはず。
また仮にアウェーでの試合だったとしても太平洋地域の国のラグビー協会にはお金がありません…。
2017年にはサモアの協会が破産したとの報道もありました。
最悪、選手団が試合会場まで移動できない可能性だってあります…。
参加国の資金の問題。。。
もちろんこれは協会や選手だけの問題ではないのですが、現実的にはこういった課題もクリアしなければLONの実現は難しいでしょう。
一方、アメリカは?
アメリカというと、ラグビーがあまり盛んではないイメージがあるかと思います。
野球やバスケットボール、そしてなんといってもアメリカンフットボールがあるので、ラグビーはあまり聞かないかなと。
しかしアメリカは2016年4月にラグビーのプロリーグ(PRO Rugby)を発足させ、2018年にはメジャーリーグ・ラグビーが創設され、今ではアメリカ8チーム、カナダ1チームの9チームでリーグを構成。2020年には12チームまでチームを増やす予定とのこと。
こんなに急拡大して需要あるんか? と思うかもしれませんが。
実はアメリカでは野球、サッカー、アメフトなどのプレイヤーは減少傾向にあり、これらのスポーツに代わってラグビーのプレイヤーが増加しているそうです。
プレイヤー数もイングランドに次いで実は世界二位の隠れたラグビー超大国になりつつあります。
その数は日本のプレイヤーの10倍を軽く超えているし、リーグではアメリカのプレイヤーのほかに、南半球の選手が数多く参加しています。
そういえば前回のワールドカップが終わった後、山田選手がアメリカ挑戦するかなんて話もありましたね。(不参加に終わる)
アメリカのようなスポーツ大国で才能ある若者がラグビー選手を目指したり、また外国の有名選手を招き、国内リーグで技術を上げていく。
かつての日本のTLのような土壌が、アメリカでは選手層が10倍以上の厚さを有して着々と育っているという事実。
10年後の未来にはランキング上位に間違いなく入ってくるでしょうし、フランスの次はアメリカでRWCが開かれるかもしれません。
アメリカがラグビー発展途上の魅力的な市場になったことで、WRが色気を出すのも無理らしからぬことだと思うのです。
やり方はかなりえげつないにしても、ね。。。
NZへの選手流出問題も背景に
NZ代表はNZ国民だけの夢ではなく、ラグビー選手すべての夢でもあります。
とりわけ、先に挙げたような資金的課題を有する太平洋地域の各国は自国の代表になるよりNZの代表となったほうが置かれる環境やひいては収入などの面において圧倒的に有利となります。
故に、太平洋地域のトップ選手はNZ代表を目指すのです。
NZだって彼らの力を奪われたら、今の強さを維持することはできないはずです。
さて、邪推してみましょう。
彼ら太平洋地域の選手が出身国の代表を選び、LONを戦ったとしたら?
彼らが直ちに覇権を手にする、とは思いませんが、間違いなくNZは苦戦するはずです。
世界のトップクラスにアピールする舞台さえあれば、太平洋地域の選手はわざわざ競争力の高いNZ代表を選ぶことは無いかもしれません。
各国の実力は平均化され、NZの戦力は間違いなく低下する。
これが王国の危機を招くのでは? という邪推です。
太平洋地域の選手が活躍できる舞台は、オール・ブラックスでなくてはいけない、というのが王国のシナリオなんです。
そもそもLONは必要なのか?
更に言うとですね。
LONって本当に必要なんでしょうか?
欧州には6ネイションズがありますし、南半球にはチャンピオンズシップがあります。
国内のリーグやSRだってあります。テストマッチもあります。
年内でこんなに試合や大会があるスケジュールの中で、LONが入り込む余裕ってありますか?
怪我しますよ、選手。
日本にとってはSRへの参戦が継続できるか危ぶまれる中で、2020年からの同大会はTier1との戦いを続けられる点で魅力的ではありますけど…
どうも財源確保を目的とした御都合主義的な大会に感じられてならない。。。
鎖国的な欧州と拝金主義的なサXザXXとかの団体とは距離を取って、日本は太平洋地域の諸国やアメリカ、カナダ、香港あたりとパシフィックネイションズをおっきくした方がいろいろと幸せなんじゃないだろうかと思うのは、ワタシだけではないのでは?
それでパシフィックネイションズ参加のTier2チームがTier1負かすようになったらカッコいいと思うけどな。
どうスかね、みなさん(笑)
ボイコットされたら困るです
ボイコットされたら困るんですよ、ワタシが!
だってサモア戦、友達と見に行く予定なんですもん、ワタシが!!
私は太平洋地域のチームが好きなので、色々思うところがあるにせよ、ボイコットという形はとらないで、違った形で抗議してもらい、ワールドカップは是非彼らの力で盛り上げてほしいんですよね。
ラグビーファンならみんなそう思っていると信じています。
応援よろしくお願いします!
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