旅先でフラッと立ち寄るバー。とてもおしゃれな感じですよね。
しかもそれが静かな港町の倉庫街にあったりしたら。
まるで映画の中のワンシーン。映画の主役になったつもりでウイスキーが楽しめるバーが、丸亀にあります。
せっかく四国に住んでいるので、そんなバーに行ってみたいなと、香川県は丸亀まで足を延ばしてみました。
もくじ
秋めく四国
バスの中から撮った写真なのであまりきれいではないですが、こんな夕焼けの中、高知市から丸亀市までは1.5時間ほど。
ついこないだまでうだるような暑さでしたが、もうすっかり秋ですね。空も高くなりました。
不思議と、旅に出るといつもこんないい風景に出会えます。日頃の行いがいいからでしょう(笑)
バーが始まるのは夜からなので、急がず夕方のバス。
山が開けて、瀬戸内海を眺めながらゆったりと時間は流れていきます。
丸亀に到着。光る夜の丸亀城
到着はすっかり日も暮れた夜。丸亀城がライトアップされて煌々としています。
ホテルでチェックインを済ませ、一休みしてから一路、駅向こうの港へと足を運びます。
丸亀の港、倉庫街
駅を超えてさらに海のほうへ向かう途中には大小の船。
港も奥まで来ると、やがて倉庫が立ち並ぶエリアへ入っていきます。
その倉庫はいくつか改装されており、今は料理店などに姿を変え、港の一角をにぎわせています。
お目当てのバーはさらにその奥、お店が並ぶ一角から少し距離を置くように、ひっそりと佇んでいるのです。
映画の世界に迷い込んだかのようなバーがある
看板まで晒しているので、分かる人には分かるでしょうし、行きたいと思ってくれた人は調べればすぐに分かると思います。
ただ、バーってやはり混雑は似合わないんですよね。常連のお客さんもそれを望んでいるでしょうし、敢えて店名はここでは晒さないことにします。ごめんなさい。
派手ではない、でもそれでいて存在感のある扉を開けると、そこはウイスキーの樽の中をイメージした店内です。
ウイスキーに囲まれた薄暗い、静かな空間でした。なんか、ため息が出てしまいます。教会みたいです。
「こちらにどうぞ」
マスターにカウンターの席に通されます。
「バッグはここにかけや」
ぶっきらぼうでなく、親しみを感じる温かい関西のことば。
カウンターの中には、マスターとマスターの息子さんであるバーテンダーさんの二人。
席に通されてもしばらくは店内を眺めていて、なかなか注文ができませんでした。見たことないウイスキーの瓶がたくさんある。
私のほかの客は、ウイスキー好きそうな男性とその奥様でしょうか。ウイスキーのボトルを手に、熱心にマスターとお話しされていました。
かっこいいなあ、ウイスキー好き同士の会話。
カクテルをいただいてみる
最初に頼んだのはカクテルのマンハッタン。何故好きかと問われると、「これしか知らないから」なのですが(笑)、いつもバーに来たら最初はマンハッタンです、私。
ウイスキーベースですが、口当たり良くてゆっくり飲めるので好きなのです。
なめるようにゆっくりと30分くらいかけてマンハッタンを飲み干して、お次はハイボールを。
マスターがずっとタリスカー(スコッチウイスキー、アイランドモルト)でハイボールを作っている。見ていたらそれを飲みたくなりましたね。
ハイボールと聞くと、大衆的なウイスキーのソーダ割りと思われがちで、「高いスコッチでハイボールなんて!」ていう人もいると思います。
実際私がそうでした。なんかもったいない気がしてしまいます。
でも、有名なウイスキーって、どうやって飲んでもおいしいんですよ(笑)
「ハイボールください、タリスカーで」
「よくご存じで。うちがタリスカーでハイボールを出すのを」
ごめんなさい、知りませんでした(笑)。マスターの作るハイボールを盗み見ただけです。
正直に話したら「ああ、そうですか」と笑っておられました。名物のようです。必飲の一品でしょう、きっと。
さも簡単だと言わんばかりに作っていただきましたが、すごくおいしく感じるんですよね。
材料なら同じものが手に入るはずなのに、きっと自分の家だとできない。
飲む場所の雰囲気がなせる業か、マスターの腕が卓越しているのか。
きっとその両方なのでしょう。ハイボールの一口目で、「ああ、来てよかった」と思えました。
スコッチのおすすめをいただく
ハイボールをいただいた後は、いよいよスコッチへ。
「普段ラフロイグのような、スモーキーなウイスキーが好きです。おすすめありますか?」
と言って出してもらったのがアードベッグ。「飲み方、どうされますか?」
息子さんのほうに聞かれましたが、マスターが「ストレートだよな!」と粋に聞いてくれます。
もちろん、ストレート(笑)
アイラモルトらしい、ガツンとくる味です。
「アイラ行ってみたいなー」とひとり呟くと、バーの会話はアイラの話へ。
日本から遠いスコットランドですが、ウイスキー好きなら一度は行ってみたい蒸留所がいくつもある島です。
「あせることはないよ。味の好みは、年を取ると変わるものやから」
マスターの言葉は、アイラに行くことを促すようでもあり、まだ早いと止めるようでもありました。
その時々に味わったものが、最高の味っていうことなんでしょうか? まだ私にはその真意ははかりかねます。
「ウイスキー好きの原点であり、終着駅でもあるウイスキー」
として紹介してもらったのは、下のグレンリベット。リベットにはじまり、リベットに終わる。
お酒の格言って、なんでも格好いいですよね。いつかさらっと言えるようになりたい。。
スコッチは割と個性的でビリッとくるウイスキーが多いですが、このグレンリベットは口当たりがとっても優しいです。
初めてウイスキーを飲む人にもお勧めだし、いろいろ飲んだ人が最終的に落ち着くウイスキーというのにも、なんとなく納得な味です。
「釣りでも、子供のころはフナ釣って、大人になっていろいろな釣りをして、最後フナ釣りに戻って来るやろ? それと同じや」
あー、なんかわかる気がする。。釣り好きでよかった(笑)
途中、おつまみにスモークナッツをいただきましたが、とんでもなく美味しいんです、このナッツが。
正直ナッツなんてコンビニで買っても変わんないんだろうな、と思っていましたが、ナニコレ⁉っていう驚きです。
雰囲気に酔っていた可能性もありますが、啓蒙されまくりなカウンターでのひと時でした。
バーを彷徨い、行き着く先は・・・
二時間ほどいたと思いますが、その間にも何組かお客さんが出入りしていて、その皆さんがちょっと遠方から来ている人でした。
みんなこのバーの噂をどこからとなく聞きつけ、日本中のバーを回遊して、行き着く先が、小さな港町の倉庫だなんて。
映画でもこんなキザはできないですよね? でも現実にあるんです、そういう場所が、丸亀に。
ウイスキーが好きで、一度はお酒に感動したいと思っている人。おすすめです。
行きつけのバーや、お酒好きのお隣さんから情報を集めて四国まで流れるのも、贅沢な旅になると思います。
最後に、いいなあと思ったマスターの一言。
「バーは、男の魂の置き所ですから」
また行きます。
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